エッセイ
3月の海。太平洋の冷たい水と、逃げられない「摩擦」のリアル。プロサーファーとの出会いから、音楽、人間関係、そして「海底のない」SNSの空虚さへ。エンタメ性を排し、届かない痛みと逃げられない関係の中にしか育たないものを、無表情な筆致で書き留めた…
波を待つ時間は、何もしない時間ではない。サーファーが波を生み出すことができないように、創作にも「凪」の時がある。焦燥感の中にいる表現者へ贈る、波待ちと表現の共通点、そして「共に在ること」についての短いエッセイ。
石川啄木は「借金と裏垢」の天才?教科書が美化する文豪たちの、愛すべき人格破綻エピソードを徹底解説。太宰治、宮沢賢治、夏目漱石から、清少納言や柿本人麻呂まで。「作品は神、人間はクズ」な怪物たちを独自の視点で斬る、肩の凝らない文豪エッセイ。
今週のお題「スープ」らしい。 ◆スープという名の「旅」 さて、何から書こうかと思ったけれど、今朝飲んだカップスープの話は、ここではしない。 それは単なる空腹の処理であって、僕の記憶をどこかへ連れて行ってくれるものではないからだ。 ◇記憶の中の液…
">父に連れられ、物心ついた頃から海辺にいた。サーファーだった父の背中を見て育ち、僕が板の上に立ったのは10歳の時だ。 ">初めてのテイクオフ、自然界のエネルギーに触れたような感覚。それは歳月で劣化しない源泉として、今も僕の体の芯に静かに残って…
今週のお題は「馬」らしい。 記憶の引き出しを開けてみたんだけど、中身は驚くほど空っぽだ。 多くの人が共有していそうな、競馬の熱狂も、乗馬体験の優雅さも、牧場での触れ合いの記憶も、僕にはまったくない。 最近あった「馬」との接点といえば、アニメの…
あの何もない駅の豊かさ 古いJRの駅。 夏の夕暮れに、一台のバイクが滑り込む。 男はTシャツを脱ぐと、水道でジャバジャバと洗い始めた。 上半身裸のまま、ベンチの背に濡れたシャツを引っかけると、彼は濡れた前髪をぐっとかき上げ、深く、そして満足げに息…